私の抵抗は虚しく、オフィスの外にコートと荷物とともに放り出されてしまった。
項垂れる私に、
「すみません……」
変人は謝る。
本当にすみませんだ。
この人に会ってから、全てが上手くいかない。
この人はお礼をするって言うけど、こんな変人のお礼なんてもらいたくない。
高級料理店に連れて行かれて、お金をせびられるのがオチだろう。
私はしっかりと立ち上がり、コートを羽織った。
そして、変人を見ずに告げる。
「こちらこそ気を遣わせてすみません。
お礼とか、本当にいりませんから!!」
逃げようとする私のコートを、変人が掴む。
「待ってください!!」
変人の声が響き渡った瞬間……
ビリッ……
生地が裂ける音がした。



