そんな藤井さんに言ってやる。




「いいですよね、モテる人は。

でも私、藤井さんとは絶対に結婚したくないな」



「ですよねー。

俺だって松島さん、じゃなくて桜庭さん無理です」




彼はチャラチャラと私を振った。

こんな関係だからか、私たちの距離は着々と近付きつつある。




「桜庭さん、金持ちと結婚したのに仕事辞めねぇの?」




そう聞く藤井さんに、辞めませんと告げる。

仕事は楽しいし、家にいても司君も留守がちだし。

だから、京都に行くまでか、子供が生まれるまでは続けようと思っている。