席を出ると、司君はベテランの生徒夫婦から質問攻めに遭っていた。

それで、



「フリーターです」



とかテキトーなことを言って逃げていた。

そんないつも通りの司君さえ愛しい。

そして、



「花奈ちゃん、そろそろ帰ろう」



ぎゅっと手を握られ、またまた胸が熱くなった。




あぁ、やっぱり司君が好きだ。

抜けてる司君も、おっちょこちょいの司君も、御曹司だと思わざるを得ない司君も。