改めて花奈ちゃんを見る。
淡い緑色の着物を着て髪をまとめた花奈ちゃんは、上品で可愛くて。
今すぐ帯をぐるぐる解いて、抱きしめたいなんて思ってしまう。
そんな雑念を慌てて振り払った。
花奈ちゃんにドキドキする俺を、頰を染めて見る花奈ちゃん。
それがまた可愛くて、またまた抱きしめたくなる。
そんな花奈ちゃんは、油断している俺に、衝撃的なことを告げた。
「先生に、司君のことを話しちゃった」
「……え?」
「華道の家元の息子だって」
「それ、相当ハードル上がるじゃん」
こんなスーツで行っちゃいけないじゃん!!
茶道なんて十年以上もしたことないし、なんだか緊張してきた。
そんな俺の手を握り、
「司君、行こっ!」
俺は花奈ちゃんに連れられて外に出た。



