「なぁ、花奈ちゃん」 司君は甘ったるい声で私を呼び、そっと手を絡める。 手が触れただけなのに、心臓がびくんと飛び上がった。 間近には、司君の綺麗な顔。 甘くて切なげな表情で私を見ている。 「俺、もう我慢出来ひん。 はよう帰って、花奈ちゃんを抱きたいで」 あー……もう! 司君の関西弁はどうしてこうも愛しいのだろう。 抱かれてもいないのに、身体も心もきゅんきゅんが止まらない、そんな春の夜だった。