それからは……
まるで魔法のようだった。
小部屋に運ばれてきたごみの中から、使えそうな花を素早く選び、それをみるみるうちにブーケにしていく。
色や形はそれぞれ違うのに、絶妙なバランスで編み込まれるブーケは、計算し尽くされたような美しい色合いとなる。
そんな魔法のような司君の技に見惚れてしまう私の横で、彼と一緒にやってきた同級生たちが騒いでいる。
「司、すげーな」
「司の特技がフラワーアレンジメントだなんて、知らなかった」
そうなんだ……
司君はこんなにも有名なフラワーデザイナーなのに、友達はみんなそれを知らないんだ。
どうして司君は隠していたのだろう。
そして、どんな理由があったとしても、その秘密を知られるきっかけを作ってしまって、本当に申し訳ないと思う。



