歩道にも、植え込みにもない。 車道にさえなさそうだ。 ガラの悪い若者がたまるコンビニにも、お洒落なカフェにも落ちていない。 結局、パスポートなんて見つからず、彼と出会った場所まで戻って来た私は、寒さと疲労によりへとへとだった。 そして、イラつきを必死に抑えて彼に言う。 「見落としはないですか?」 「はぃ……」 しゅんとなる彼を見て、語気を強めてしまった自分を反省する。 そして、努めて優しく彼に言う。