思わず振り向いた視線の先に、彼がいた。 大きなスーツケースを引いた彼は、アロハシャツの上にパーカーを羽織り、ジーンズを履いていた。 この寒い真冬にアロハシャツだなんて。 それでなくとも、やけに軽装だ。 ぽかーんとする私を前に、彼は泣きそうな顔ですがってくる。 「パッ……パスポートなくしてしまって……」 えっ!? 「すぐそこまではあったのに……!!」