それが嫉妬だと気づいたのは、いつからだったのだろうか。


「ウキョウくんと仲良くして、じゃれ合って、簡単に触らせてたのはお前も同じじゃねーか」


ギュッと、左手に力が入った。言いながら、恥ずかしくなった。嫉妬だって、明確に分かった。それを、今俺は恋人でもなんでもない、ただの好きな女の子にぶつけていること。


言葉にして、すぐに気づいた。



「なに、それ…。じゃれ合ってないし、仲良くしたつもりもない!同じ大学目指す仲間なんだから一緒にいたっていいでしょう!?」


…色々なものが、溢れてくる。でも、ダメだ。こぼしたら、ダメだ。せき止めなきゃ、ダメだ。

だけど…。


「嫌なのは俺だって一緒だよ!」


止められなかった。

茶々が、ウキョウくんのことを “ 仲間 ” だと思っていることは、分かったのに。理解できたのに。

情けなかった。高校生に向かって、こんなことを言う自分が、ひどく子どもに思えた。


「…、近海…?」

「……バイト行ってくる。珠理には連絡しとくから、ちゃんと気をつけて帰れよ」

「…ちょっと!!近海!!」


茶々に名前を呼ばれた。何度も。だけど、振り向けなかった。

今の、俺の顔を見られたくなかった。

どうして、こんなにも腹が立ってんのかも分からなかった。



まさか、自分がここまで小さい人間だったとは。器の小さい男だったとは。


そんなこと、今まで、気づけなかったから。