それからは、少しセンター試験のことについて話した。
得意の古典に関しては、源氏物語じゃなかったとか。現代文もまぁまぁいけたとか。数ⅠAは前年度に比べてひねりは少なかったとか。
とにかく、勉強のことについて、しばらく話して。採点はまだされてないから分からないけど、聞いてる話だと大きなミスさえしなければ、ある程度の点数は取れているんじゃないかと思った。
そして、茶々は最後に、少しむすっとした声で、言った。
『…オーミがくれた、鳩みくじの御守り、ちゃんと持っていったから』
明らかに口が尖っていたと思う。それが分かってしまって、今茶々がどんな顔をしているのかも想像できた。
「はは…っ」
『なっ…、なんで笑うの!?』
「いや…別に。ははは」
『さいってい! 近海なんか知らない!』
俺が、何気なくあげた、鳩みくじの御守り。もっと、ちゃんとした学業御守とかあげられればよかったのに。
あんな、初詣でなんとなく引いたおみくじに付いてくるような御守りでも、こんなにも大事にしてくれるなんて思わなかった。
だから、嬉しかった。俺も。
「…茶々」
『なに』
「なんか今、すげーお前の顔が見たい」
『…!』
自然と溢れ出した言葉。言ってしまったあとに、ヤバイと血の気が引いたけど、鈍感な茶々にはイマイチ伝わっていなかったらしく、『またバカにしてる』と怒られてしまった。



