「採点は、明日?」
『うん。とりあえず明日の午前中で採点。それでね、近海』
「ん?」
電話の向こうで、茶々は少し、言いづらそうに言葉を続ける。
『…明日、K大学の見学に行く』
「はっ!?明日!?」
明日、茶々が俺の大学に来る?
慌てて壁にかけてあったカレンダーを見る。ウッワ、思いっきり午後からバイト。最悪だ。なんで明日なんだよ。
別の日じゃだめなのかと聞いてみたけど、平日はもう二時試験の準備に入るから、明日の午後しか時間がないと言われた。それでも、試験会場は見ておきたいと。
「俺、明日は2時からバイトだから、少ししか会えねーよ。お前、1人で来るの? 珠理に空いてるか聞いてみようか」
『ううん、別に大丈夫。初と、右京くんもいるから』
「…」
…改めて、出される名前。最近よく聞くな。ウキョウくん。
そういえば同じ大学だって言ってたっけか。右京くんは俺たちの高校とは別の学校だよな、多分。見たことなかったし。まぁ、そんなのはどうでもいいけど。
「校門のとこに行けば、パンフ貰えるよ。受験会場は毎年同じらしいから、場所だけ教えてやる」
『うん、ありがとう近海』
少しだけ、声が明るくなった。とりあえずセンター試験が終わって、少しホッとしているのだろうか。
いつも俺の前ではテンション低めだから、こういう小さな変化にも、まぁまぁ気づけるようになってきた。



