茶々は、今まで珠理以外の男にはなびいたことがなかった。

茶々は、うちの学校でもトップクラスの美少女だった。
1年の頃からずっと、俺らの代や先輩からも注目されてきた奴だけど、なんせ男という生物があまり好きではないらしく、自分から縁を切っていたような奴だ。

付き合う男も、珠理と俺くらい。クラスでの様子をずっと観察していたわけではないけど、仲良しの女の子といつも一緒にいて、そんな場面しか見てこなかった。

だから、今回みたいなことは初めてだった。


「…ウキョウくんって、誰だよ……」


そんな名前、聞いたこともない。第一茶々はあんな性格だしキツかったから、男なんて寄り付かなかった。

みんなの高嶺の花的な存在だったんじゃないかと思っていた。

でも、そうじゃなかったのか。あいつも、普通に男と話すことだってあるんだ。


…人間だから、当たり前のことなのに。


ちょっと、さっきのは驚いてしまった。
ほんとに、ほんとにちょっとだけ。


「ウキョウくんって、誰だよ!!!」


珠理以上のライバルなんていない。叶わない相手なんていない。


ずっと、そう思って、生きてきたから。