たぶん、トクベツちがいな恋。



ひどく困った顔をする茶々のことを、愛おしいと思った。


「疲れねーから、ちゃんと1つずつ言って。下手でいいから。言いたいって気持ちがあるなら、俺は聞くよ」


疲れることなんてない。お前の話なら、何時間だって何日だって聞いていたいよ。どんな話だっていいよ。茶々が話したいことがあるなら、ちゃんと聞くから。

大丈夫だよ。


「…っ、本当は茶々だって、一昨日は試験終わった後、チョコレートカフェ行きたかった。だけど、どうしても倒れた右京くんのこと、そのままにできなくて。周りに誰もいなかったから…、ごめんなさい」

「うん」

「それから…、最近ずっと近海のこと怒らせてしまってごめんなさい…っ。近海とは…、喧嘩するのも珍しくないかもしれないけど、それでも、最近は近海の後ろ姿ばっかり見てて、つらかった…っ」

「…ん」


後ろ姿。それはきっと、怒って茶々に背中を向けて帰ってしまったことが原因。2回もそうしてしまった。不安にさせたのは、俺だ。


「俺が変なことで怒ったからだし。お前が気にしなくていーよ。ごめん」

嫉妬に駆られて、こんなにも不安にさせてしまったことを、ものすごく後悔した。

そのことを改めて謝った。だけど茶々は、チガウと言うように、首を横に振る。


「…茶々は、近海が怒った時だけじゃなくて、近海が大学生になってからずっと、ずっと、近海の背中ばっかり追いかけてる気がしてた…っ」


「——…」


声が、震えている。俺の方をじっと見つめていた瞳も、震えた。

いつもは目を逸らして、俺に見られないように泣く彼女が、まだ、動かずにただ俺を見ている。

その、宝石のような瞳に、自分の姿が映った。