ピンポーン
「…」
苦しくなって、ベッドのシーツをぎゅっと握っていると、家のインターホンが鳴った。
…誰だ。頭が痛くて起き上がれない。
宅急便? なにかの勧誘? 心当たりはない。
…もういいや、無視しよう。
そう思っていた時だった。
「オーミ!!近海!? 大丈夫なの!?」
ドンドン!と、ドアを叩く音と同時に、こもった声が聞こえる。
その声の主に、ハッとした。宅急便でもなんでもなかった。無視をしたりしたら、いけない相手だった。
重たい身体を起こして、玄関に向かう。
あぁ、ふらふらする。頭も痛い。そろそろ、頭痛薬効いてくれるといいんだけど…。
「近海…!!」
ガチャリと鍵を開けた瞬間に、頰に冷たいものが当たった。
気持ちいい。冬の冷気が、今はこんなにも恋しいなんて。
「ちょっと近海!しっかりして!」
「……あぁ、うん…」
「分かる!? アタシよ!」
「うん…」
珠理だ。 ぼーっとしている俺の額に、大きな手のひらが乗せられる。
ギャンギャンうるさい。頭に響く。だけどそう文句を言う元気もなく、ただ目の前の男に連れられて、部屋に戻った。
「近海が熱出すなんて、珍しいじゃない! まったくもう、何したらそんなふらふらになるまで体調崩すのよ〜!」
「…」
色々買ってきたらしい珠理は、俺の額に冷えピタを貼った。突然の冷たさに、「つめて!」と声が出る。



