「じゃあ、次は種目決めね」



教卓の前で体育委員の子が、黒板に種目を書き出していく。



「一人一種目は強制だから、したいのに手をあげてくださーい」



ええぇ……私は観戦したいです。



そんな心の叫び声なんて誰にも聞こえるはずもなく、着々と種目が決まっていく。



「じゃあ次は障害物競走」



「ねぇ、朱里」



名前を呼ばれ吃驚しながら、名を呼んだ彼の方を見た。



……呼び捨て!?



急なことにワンテンポ遅れて驚いていると、彼に手をつかまれ高く上げられた。え??



「え、っと……じゃあ、障害物競走は大路君と平塚さんね」



ん??何のこと??



黒板に書かれる私の苗字。その種目は障害物競走。



『ちょっと、あ、え??』



ワタワタしているうちに、次の種目決めに移ってしまった。マシですか!?地味に面倒くさいやつじゃん!!



『ちょっと、は……寝てるし』



クレームを入れてやろうと横を向くと、彼はいつもの様にお昼ねタイムに入られていた。一瞬ですねお昼寝のプロめ……。