しんとする台所。
「今日は学校どうだった??」
唐突な質問に、内心ビクッとしたが冷静に笑って見せた。
『新しい友達が出来た』
「そう、それは良かった」
お母さんは笑顔を浮かべることなく、淡々と会話をする。お母さんが心から笑わなくなったのはいつ頃からだろうか。
もう、長い間優しく笑うお母さんの姿を見てないな。昔はよく笑ってたのに。
『お母さん、今日は疲れたでしょ??私がお皿洗っておくから休んでて??』
お互いに夕飯を食べ終わり、ボーっとしているお母さんに話しかけた。
「そう、ありがとね朱里」
フッと力のない笑みを浮かべると、お母さんは寝室へと消えていった。
ザーッと水道の水が流れるのを見て、ため息をついた。
どうにかしなければいけない。分かってはいるけど、どうにもならない。
警察に言ったって、行方不明の人はたくさんいてお父さんだけをずっと捜査する事なんて難しい。
こまったな。早く帰ってきてよお父さん。