保健室に行くと、なぜか先生がいなかった……。
まあいっか、テーピングくらい自分で出来るし。
大事ではないんだけどさ……結構痛い。
それよりも、腹が立つ。
マリア……なんなの…………。
昔、突き指した時に、バスケのコーチにやってもらったテーピングを見よう見まねでやってみた。
「よしっ」
なかなか、うまく出来てた。
保健室を出て、体育館へ向かう途中。
ある人と出会った。
大雅……………………。
私は、彼の姿を見た瞬間、一瞬止まった。
彼も、同じように、私を見た瞬間、少しだけ止まった。
でも、大雅はそのまま、歩いてこっちに向かい、止まったままのあたしの横を、スっと通った。
私の顔を全く見ずに。
言うんだ。
私。
言わないと。
遠ざかる、足音を聞きながら自分に言い聞かせ、振り向いた。
「大雅…………!」
私がそう叫ぶと、大雅は振り向いた。
「ありがとう……!!!!」
「あの時も……!…………と…手嶋くんのことも……!」
私は、それを言った瞬間、涙が出てきた。
「ほんとに、ありがとう…!!!」
「それと……バスケ、頑張ってね!」
私が大きな声でそう言うと、
「おう。」
それだけ言って、また去っていった。
大雅……ちょっと顔が柔らかくなってた。
夏休みの最後の夜の時よりも……。
やっと言えた。
よかった。