エデ伯母さまの体はもう殆ど消えてしまっている。それはアウロラも一緒だ。



「わらわはエデと共にアヴァの元へゆくとしよう」



アウロラが手を差し出すと、エデ伯母さまはかろうじて残っている手でアウロラの手を取った。


あれ程憎み合っていた2人が手を取り合っている。とても不思議で喜ばしい光景。



「アウロラ」

「バルタザール……」



2人は見つめ合い、同時に笑みをこぼした。心が通じ合っているようだ。



「また何処かで……」

「えぇ、また何処かで……」



アウロラはジーンの手を取り、私の手の上に重ねた。そして私たちの手をギュッと握った。



「2人に天と地の_皆の加護があらん事を……」



そう言って笑った瞬間、アウロラは見えなくなり、キラキラと輝く七色の光が天へと登っていった。その隣には紫色の光が寄り添うようにキラキラと光っていた。



「アウロラっ!!! ありがとう_ッッ!!! 大好きだよ!!!! ずっと忘れないから!! 絶対っ__忘れないから__ッッ!!!!!!」



ひたすら泣いた。


大声で心のまま泣いた。


今だけにする。もう泣かない。笑っていないとアウロラに心配かけちゃうから。だから、今だけはアウロラの為に泣く事をどうか許して。


雨が降ったわけではないのに、空には大きな虹がかかった。


それはまるでアウロラが慰めてくれているかのようだった。