はぁ…今日は一段と疲れた。仕事内容自体は普段通りだけど、着飾った女性たちを見かける度疲れが蓄積されていった。


早くご飯食べて早くシャワー浴びて、今日は早めにベッドに入ろう。



「え!? 何これ!?」



部屋に入った途端驚いて足を止めた。


ベッドや枕は切り刻まれ羽毛が至る所に飛び散っている。窓ガラスも割れて床に散らばっている。



「レミー!?」



叫ぶように名前を呼ぶと、何処からかピョーンっとレミーが胸目掛けて飛びついてきた。体をクルクル回して見てみても、怪我してるところは見当たらない。



「あぁー良かった」



それにしたって何この有様は……もしかして私の事を知ったどこかのご令嬢の嫌がらせ?


明かりをつけると更に酷い光景に大きなため息が漏れた。今日何処で寝よう……ロアナのお家に泊めてもらう?それよりこの事を報告しなきゃいけないよね。でも誰に?薬室長かな?



「なんだろこれ……」



黒紫色の花が無残にも切り裂かれたベッドの上に一輪乗っかっていた。



「ベアトリーチェ!!」

「な、何!? どうしたの?」



花を取ろうとしたら、もの凄い剣幕でアウロラに名前を呼ばれた。



「それに触れてはならぬ__っ」

「アウロラ?」



普段揚々としているアウロラの表情が凍りついていた。視線は黒紫のお花に注がれている。