「国王、ベアトリーチェをバルドック国騎士団総帥のヘンリーへ引き渡してほしい」



ヘンリーがバルドックの騎士団総帥?騎士団で一番偉い人の事よね?私はそんなヘンリーを知らない。



「分かった。 私が責任を持って預かろう」



勝手に話が進んでいく。


私は結界に近付き、その結界を思いっきりグーで殴った。



「私の話を聞いていなかったの!? 戦場に戻るならその前に__」

「俺はお前を殺せない。 あの日のように……」



バルドック城での事を思い出す。あれは本気じゃなかった……?



「ヘンリーが全て事情を把握している」

「なっ__」

「俺を恨んでくれても憎んでくれても構わない。 好きにしろ」



私の意見なんていつだって聞いてはくれない。この人は自分の思う最善を実行する。



「お言葉通り好きにさせてもらいます」



足を進めると、厳重に張られている結界に難なく入れた。アウロラは言葉の通り守ってくれてるのか、息苦しさや辛さはなかった。



「何をしている!! 今すぐ出ろ!!」

「好きにしろと言ったのは貴方でしょ?」