ちょっとだけ後悔していると、後ろからせわしい足音が聞こえた。 それからはあはあと苦しそうな呼吸が。 一体どうしたのだろう。 まるでさっきのわたしのようだ。 そう思い振り向こうとすると、聞き慣れた声がした。 「……美里っ!」 それは十数年間わたしと共にしてきた名前。 耳に馴染んだその声は―― 間違えない。 わたしが間違えることがない。 ――御崎のものだった。