幸せを探して

「違うでしょ。顔に書いてあるよ」


「…何て…?」


隼人君は1泊間を開けた。


「助けて、って」


私の視界が揺らぐ。


「何言ってるの?そんな訳ないじゃん」


ついつい強気になる。


「本当にー?」


隼人君は挑む様に私を見て、クックッと笑う。


私はそんな隼人君から顔を逸らし、リュックの中からポッキーを取り出した。


「ポッキー、持ってきたから…食べない?」


その瞬間、隼人君の顔が一変した。


「ポッキー!?食べる食べる!!それ何味!?いちご味じゃん!それめっちゃ美味しいよねっ早く食べよう!?」


(隼人君、高1にしては幼い…)


と、心の中で突っ込みながら、私は封を切ってポッキーを手渡す。


そして私達は、何事も無かったかのようにポッキーをかじる。


「ああっ!めっちゃ美味しい!!何この味!?この前は全部愛来に取られちゃったから食べれなかったんだよね!」


「え待って、こんなに美味しいものを愛来は独り占めしてたってこと!?…優しさの欠けらも無いな…」


美味しそうに感想を述べ、たまに愚痴をこぼしながらポッキーを頬張っていた隼人君。


それなのに、突然真面目な声を出した。


「美空ちゃん、ポッキーの味…分かる?」