幸せを探して

隼人君ははっとしたように私を見ると、


「ううん…ベッドに行きたいんだ」


と掠れた声を出した。


「分かった」


私は頷き、持ってきたリュックを隼人君のベッドの脇に置くと、すぐさま行動に移った。


隼人君の腕を私の肩に回し、隼人君の腰に手を回してしっかりと支える。


この前も手助けをしたから、やり方は分かっている。


「いくよ!」


私はゆっくりと立ち上がった。


隼人君は、私に助けられながら立ち上がる。


けれど、その足はきちんと機能せず、まるで引きずっているようだった。


その後、私達はゆっくりとベッドへ向かい、隼人君はベッドの脇に体を支えながら座った。


私は横倒しになった車椅子を隼人君のベッドの近くまで持って行った。



そして私は椅子に座って、口を開く。


「隼人君…どうして、あそこにいたの?」


「ああ…皆よりも少し早めにお昼食べて、一足先に部屋に戻ったら、バランス崩して転んじゃって…」


隼人君は頭を掻く。


「他の人は?」


「居なかったよ。…だから、かれこれ10分位かな…あの体勢でいたよ」


私は驚いて隼人君を見た。


「…ずっと、動けなかったんだ…だから、美空ちゃんが来てくれてほんとに良かったよ。ありがとう」


隼人君は私に向かって笑みを見せる。