幸せを探して

愛来と共に病院へ行ってから1週間と少し経った土曜日。


私は1人で、梅ヶ丘病院への道を歩いていた。


雪の上を滑らないように気を付けながら歩く。


今日は朝早くに雪が降り、今は丁度止んでいる。


いつ降るか分からない雪へ恐怖を覚えながら、一歩一歩病院へと歩いていく。



何故病院へ行くのか。


それはもちろん、隼人君が私を覚えていてくれたから。


もしも私の事を覚えていなかったら。


もしもあの時、関わらなかったら。


私は今日、この道を歩いていなかった。


この前は愛来の付き添いで来たけれど、今回は違う。


私だけの、れっきとした理由がある。


私は、隼人君に相談したかった。


いつまで経っても過去を引きずっている私を、あの笑顔で受け止めて欲しかった。


幸せについて、質問したい。


それだけ。


そうこう考えているうちに、気がつくと私は205のプレートの掛かった病室の前に立っていた。



今はお昼時だからか、いつもよりも病院が騒がしいような気がする。


まあ、少し早めにご飯を食べたから、私はお腹が空いていないけれど。


(居なかったら探そう)


そんな事を思いながら、私は一応ノックをしてから病室へ入った。



「っ…くそっ…」


ドアを開け、まず最初に入ってきたものは彼の意外な姿で。