幸せを探して

「どこ行っちゃったのかな…?」


独り言を呟きながら2階をうろうろしていると、


「あれ…美空ちゃん?」


と聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。


「えっ…」


振り返ると、そこには車椅子に座った男の人がいた。


「隼人君…?」


最後に会った時よりも、随分と背が高くなったのだろうか。


何となく、車椅子が小さく見えてしまった。


「美空ちゃんだよね!?久しぶりー!」



車椅子のタイヤを器用に回しながら、笑顔で手を振るその人は、まさしく隼人君。


その笑顔は1年前、私を励ましてくれた時の笑顔とそっくりで。


私はその場に固まってしまっていた。


「あれ、美空ちゃん…?」


固まったままの私を見て、不思議そうに目を細める隼人君。


「……隼人君……覚えて、たの…」



ずっと忘れ去られたと思っていた。


私なんか、誰にも覚えてもらっていないと思っていた。


でもそれは、間違いで。


気が付くと私は、笑っていた。


怖いほど自然な、作り笑顔。


隼人君はそんな私を見て、安堵したかのように顔をくしゃりとさせた。


そして、病室行こ?と、顎で病室の方をしゃくってみせた。


隼人君は慣れた手つきで引き戸を開け、自分のベッドまで行くと、カーテンを閉め始めた。