幸せを探して

そこで愛来が傍と立ち止まる。


「あっ!お兄ちゃんにポッキー買ってきてって言われてた…」


「買うの?」


「うん、いちご味の…。美空、先行ってて!私はそこのコンビニに寄るから!」


慌ててくるりと背を向け、走り出す愛来。


1度言い出したら聞かない愛来。


(病院内にもお店、あったと思うけど…)


心の中で突っ込みつつ、私は愛来と別れて病院へ入った。


病院へ入ると、つんとした匂いが鼻をつく。


この匂いが好きで、幼い時にこの匂いを嗅ぐためだけに、美花と2人で病院へ行ったことを思い出す。



面会の許可を貰い、うろ覚えの記憶だけを頼りに、エレベーターとエスカレーターを乗り継いで右往左往する。


(何処だろ、ここかな…)


悩み悩み2階で立ち止まった私は、壁に手を当てながら歩く。


(ここだったような…)


205と書かれたプレートの下には、指名が書かれている。


『橘 隼人』


目当ての指名を見つけ、小さくガッツポーズをする私。


まるで、はじめてのおつかいで、お目当ての商品を見つけた子供のようだった。



「お邪魔します…」


恐る恐る引き戸を開け、中へ足を踏み出す。


きょろきょろしながら隼人君が居るはずのベッドを見つけたが、そこは空っぽ。


(あれ、居ない…どこだろ?)


首を傾げながら私は廊下へ出た。