幸せを探して

「私の妹のことも」


「…分かってる」


陸人は苦しげに言葉を絞り出す。


「…絶対に、知られたくないの」


陸人はしばらく黙った後、呟いた。


「分かってる、俺だって……耐えらんない…言ったら、俺自身どうなるか分かんない」


その声は、吐息と共に空中に溶けていく。


陸人は両手で顔を覆った。


「あの時言わなかったけど…俺も、辛い…」


自分の能力を嫌っている陸人。


その声は手で顔を覆っているためか、聞こえづらかった。


「うん、分かってる…ごめんね、確認しただけ」


陸人は手で顔を覆いながら頷いた。


「昨日、斎藤君と話して…陸人が、この学年に双子がいないって教えてくれた、って言っていたから心配になっただけ」


陸人は参考書を片付けていたが、はっとしたように硬直した。


「…ごめんっ!あの時、忘れてて…」


陸人に謝られるけれど、もう遅い。


「…私にね、妹が2人いるって、ばれちゃったんだ」


私はあえて明るい声を出す。


「そのうち1人は、私と双子だってこともばれちゃった」


私は自虐的な笑みを浮かべる。


何故、昨日私は斎藤君を家へ招き入れたのだろう。


「他の学校だって嘘ついたけど…いつ全部ばれるか、分かんない…」