幸せを探して

(斎藤君に、私が今日保健室へ行ったことがばれた!)


たちまち、眠りにつこうとしていた脳みそがフル回転する。


(私が泣いてたのも気づかれた!)


だとすると、かなり厄介な事になる。


中村先生は、名前を出さなかったものの、


『彼女は、辛い過去があるの。その過去を思い出して泣いちゃったのよ』


と言っていた。


斎藤君に、聞かれるかもしれない。


私が必死に隠しているあの事を。



けれど、今日転入してきたのだから何もしないかもしれない。


今日の出来事だって、忘れるかもしれない。


でも…。


私は考える。


もし、斎藤君に聞かれたとして。


いつだって、最終的に辛くなって、寂しくなって、悲しくなって、泣きたくなるのは私だ。


これ以上、私の過去を知られたくない。


損をするのは私だから。


(明日は早く学校に行こう)


落ち着きを取り戻した私は、それだけ決めて眠りについた。



次の日の7:45。


普通なら8:00から学校の門をくぐるところ、私は一足先に教室へと向かっていた。


理由は1つだけ。


毎週、誰よりも1番早く登校している陸人に、話したい事があったからだ。