幸せを探して

「…辛くて、苦しんでる人が居たら、そばに居て助けてあげるのは当然でしょ?」


私は答える。


いつかの陸人の行動と重ねて。


私はキッチンの方を振り向き、いつの間にか出来上がった紅茶を運びながら続ける。


「今のは言い過ぎだけど…でも、力になりたいって思うのは当たり前なんじゃない?」


紅茶できたから座って、と言いながら考える。


私は、元には戻らないのかな…と。



「そういえば、家の用事とかないの?」


紅茶が入ったコップを両手で包んでいた斎藤君は首を振った。


「今16:30だから…17:00位に帰るね」


私は頷き、床に座って紅茶をすすった。



それからしばらく無言の状態が続いた。


「ねえ」


先に口を開いたのは斎藤君だった。


「ん?」


「…この人誰?」


「えっ?」


斎藤君は、壁に貼られた沢山の写真の中の、1枚を指差していた。


「この人」



それは去年の夏、遊園地へ行った時の写真。


私と美花、流美が満面の笑みをたたえている、お気に入りの1枚だ。


美花が流美のことを抱き上げ、私がその隣でピースサインをしている。


「抱っこされてる子でしょ?それ、私の妹だよ」


斎藤君は首を振った。


「違う…抱っこしてる人」