幸せを探して

「最期まで、美花さんと一緒に居てあげてください」


それは、遠回しに


「美花はもう死ぬ」


と言っているようなものだった。


(この人は、何を言っているの?)


それはあまりに残酷過ぎる言い方で。


(美花が死ぬ?そんなわけない)


(死ぬべき人は、私だったんだから)


そう思っていても、声が出なくて。


お母さんとお父さんが美花の手を取り、泣きながら話しかけているのを聞きながら、私は呆然と固まってしまっていた。


(美花はもう死ぬの?)


(一緒に、生きるんじゃなかったの?)


つい数時間前、そんな約束をしたのに。


少しして我に返った私は、愛する妹の元へと飛んでいき、必死に言葉をかけ続けた。


寒さも、体中の痛みも感じなかった。


「美花、私だよ…美空だよっ…」


すると声をかけてしばらくして、美花が反応した。


「…っ…」


「美花っ!!」

私達3人の声が重なり、病室中に響いた。



美花はゆっくりと1人1人の顔を見つめた。


そして、ほとんど聞き取れないほどの掠れた小さな声で1人1人に話し掛けた。


「…お母さん…」


「何、美花?」


お母さんが、美花の目と焦点を合わせる。