幸せを探して

「美花…美花…お願い、返事して…!」


(美花、何でこうなったの…)


私はパニックに陥っていた。


車の運転手や、近所の人が出てきて謝ったり救急車に連絡をしているが、そんな事はどうでも良かった。


私達の周りに人だかりが出来る。


周囲の人の声など、私の耳には入ってこなかった。


「美花…ねえ美花ってば!」


声を出す度に身体のどこかが悲鳴をあげる。

私はそれでも諦めない。


何度目だろう、とにかく妹の名前を呼び続けていると、


「…美空…?」


美花が掠れた声で私の名前を呼び、目を開けた。



「…美空、無事で良かった…」


掠れた声で、ゆっくりと言葉を吐き出す美花の姿に、私の心は締め付けられる。


「何言ってるの…美花、何したの…?」


(言わないで、知りたくない)


聞いておきながら、矛盾した考えに取り憑かれる。


「美空が危なかったから…美空のこと助けようとしたんだけど、私が轢かれちゃった……」


自分の心配が先のはずなのに、美花は私を元気付けようと必死で笑いかける。



(ああそうか、美花は私の事を助けてくれたんだ)


(でもそんな事しなくても良かったよ。あなたが轢かれなければ十分だったのに)