『怖くないんだ…怖がらなくて、いいんだ…』
え?、と私は陸人を見る。
最後の方の言葉は、私達にでは無くて自分に言い聞かせているように聞こえたから。
『怖く、ない…』
陸人の声は震えていた。
『え?』
美花が状況を把握出来ず、困った顔をする。
そんな妹を私は黙らせ、陸人を見る。
『……ありがとう』
何か考えていた様な陸人は、突然笑顔になり私達を見た。
『え、ああ、うん』
『いえいえ…?』
私達は間の抜けた声を出す。
何のありがとうなのか、さっぱり分からなかったからだ。
そんな私達を見て、陸人はふふっと笑う。
『怖くないって言ってくれて、ありがとう』
『ああ!いえいえ!』
美花は理解したように頷いた。
「そんな事もあったなー」
私達は、完全に昔の記憶に浸っていた。
「今思うとさ、あれって陸人の驚異的な記憶能力の事について聞かれてたんだね」
私は頷き、今更ながら気がつく。
あの時、
“怖くない?”
と聞いてきたのは、円周率を沢山言ったことではなく、円周率を沢山言える自分自身についてだという事に。
「え、どういう事?」
私はまたもや質問をする。
「本当は、お盆とかお彼岸とかの時にしか会えないんだけどさ」
え?、と私は陸人を見る。
最後の方の言葉は、私達にでは無くて自分に言い聞かせているように聞こえたから。
『怖く、ない…』
陸人の声は震えていた。
『え?』
美花が状況を把握出来ず、困った顔をする。
そんな妹を私は黙らせ、陸人を見る。
『……ありがとう』
何か考えていた様な陸人は、突然笑顔になり私達を見た。
『え、ああ、うん』
『いえいえ…?』
私達は間の抜けた声を出す。
何のありがとうなのか、さっぱり分からなかったからだ。
そんな私達を見て、陸人はふふっと笑う。
『怖くないって言ってくれて、ありがとう』
『ああ!いえいえ!』
美花は理解したように頷いた。
「そんな事もあったなー」
私達は、完全に昔の記憶に浸っていた。
「今思うとさ、あれって陸人の驚異的な記憶能力の事について聞かれてたんだね」
私は頷き、今更ながら気がつく。
あの時、
“怖くない?”
と聞いてきたのは、円周率を沢山言ったことではなく、円周率を沢山言える自分自身についてだという事に。
「え、どういう事?」
私はまたもや質問をする。
「本当は、お盆とかお彼岸とかの時にしか会えないんだけどさ」



