幸せを探して

私は、もう見えなくなった陸人に向かって


「良かったね」


と呟く。


その苦しみを、もっと長く溜め続けていたら私のようになってしまうから。


私のように、一部の感情を無くしてしまうから。


そうならないうちに本音を言えて良かったね、と、心から思った。



その日の夜。


パジャマに着替えた私は、自分の部屋で明日の時間割を揃えていた。


リュックから教科書を取り出し、それを本棚に突っ込む。


そして、本棚からまた新たな教科書を取り出す…。


その瞬間、はらりと何かが教科書と教科書の間から落ちた。


(何?)


床に落ちたそれを拾い上げる。


それは、A4サイズのノート。


ピンク色の表紙には水玉模様のマスキングテープが貼られ、そこに黒いペンで


“交換日記 No.3”


と大きく書かれていた。


「交換日記…」


口に出して呟いてみるも、特に何も思い出せない。


(何だろう…)


そう思いながら、恐る恐る表紙をめくる。


1枚目には何も書かれていない。


次のページをめくる。


そこには、見慣れた字が並んでいた。


同じ日付なのに、左ページと右ページで内容が異なっている。


私は左ページに目を通す。