「え、なんとなく気になったから」

「別に、普通の話しだよ」

つぼみは、あっさり言った。

普通の話しにしてはやけに楽しく話しているように見えた。

「へぇ、そう………」

僕は、ぎこちなく笑った。

表情は笑っていたが、心の中は尊人となにを話していたか気になった。

「なぁ、広瀬。今週の土日、どっちか僕と久しぶりに遊ばないか？」

僕は、緊張した声で彼女に言った。

「ごめん。土日は予定が入っていて、むりなの。ごめんね、神宮君」

彼女は、両手を合わして申し訳なさそうに謝った。

「土日、両方とも予定あるの？」

僕は、不安げな声で訊いた。

「………」

彼女は、首だけを縦に小さく振った。

彼女の表情は、なんだか悲しそうに見えた。

「そう………なんだ」

僕は、沈んだ声で言った。

今週の土日会えなかったら、また一週間後、彼女と別れが訪れる。そうすると、また僕は神社にお金を納めて彼女の転校を引き伸ばしてしまう。

ーーーーーー彼女と休みの日に、ゆっくり会いたい。

そう思って食べたおにぎりが、いつもよりもしょっぱく感じた。