午後十二時三十分、僕たち家族三人は、公園の芝生の上にビニールシートを敷いて母親が作ったサンドイッチを食べていた。自然に囲まれた中で、母親の作ったサンドイッチを食べると、いつもよりおいしく感じられた。
「おいしい、願?」
「うん、おいしいよ」
「よかった、がんばって作って」
僕がおいしいそうにサンドイッチを食べているのを見て、母親はうれしそうな表情を浮かべた。
母親は僕のことを考えて作ってくれたのか、サンドイッチの具は、玉子とハムがパンに挟まれていた。
「来てよかったな」
ペットボトルに入った冷たい飲料水を飲んで、父親は微笑んだ。
「うん、来てよかったね」
そう言って母親は、目を細めて遠くを見つめた。
「願も、そう思うでしょ」
「うん、来てよかった」
母親にそう訊ねられて、僕は首を縦に振った。
一週間しかこの幸せは続かないことはわかっていたが、公園に来て、家族とこんなにもすばらしい思い出を作れたことをよかったと思った。