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あたしに何も言わなかったのは、あたしの事を気にかけていたからだろうか。


それだけが気になったあたしは放課後になるのを待って雄生に話しかけた。


「ねぇ。今日も一緒に帰れる?」


「あぁ。いいよ」


雄生はいつの様子でそう返事をして席を立った。


2人で並んで歩く事はとても幸せなことだった。


でも、昨日とは少しだけ違う雰囲気だった。


会話は途切れがちで、雄生はどこか遠くを見ているような感じがした。


「今日、孝彦と何かあった?」


あたしがそう聞くと、雄生は「まぁな」と、短く答えた。


いつもならすぐに何があったか話してくれるのに、その気配もない。


言いたくないのかもしれない。


それなら、あたしから無理に聞き出すことはできない。