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校舎の近くまで戻ると、沙和が倒れていた。


今でも許せない気持ちはあるけれど、それでもほっておくわけにはいかない。


「こりゃ、河上さんの娘じゃないか」


かけつけた1人が沙和を見てそう言った。


「沙和を知ってるんですか?」


「あぁ。あの家は昔おつねを殺したんだ。この子もまた祖先にとりつかれてたんじゃないかなぁ」


彼はそう言い、おつねの供養をどうするか、他の人たちと話をしながら、帰って行った。


「沙和、起きて」


あたしは沙和の肩を揺さぶった。


沙和は何度か瞬きをして目を開ける。


「あれ、アズサ? ここ学校? なんで?」


キョトンとした顔でそう言った。


「沙和、大丈夫? なにも覚えてないの?」


そう聞きながら沙和の体を起こした。


それから沙和にジンクスのことや呪いのことなどを話してきかせたけれど、沙和はなにも覚えていなかった。