沙和に電話をかけると3コール目で出てくれた。


ちょうどホームルームが終った休憩時間だったみたいだ。


「アズサ、今日も休みってどうしたの? 雄生も来てないし、あたし心配してるんだよ?」


電話の向こうから聞こえて来る沙和の声は、いつもとなにも変わらない感じだった。


本当にあたしの事を心配してくれているようにしか、聞こえない。


それだけであたしはまた泣きそうになってしまう。


これが全部嘘だなんて、信じられない。


「雄生は今あたしの家にいる」


「え……?」


「傷口のこと、ちゃんと話したの」


「そうなんだ……」


沙和の声色は急に沈んだものになった気がした。