「早く起きなさいよー」


同じ事を繰り返すその声に、ゾクリと背筋が震えた。


心なしか右膝にかゆみが走っている。


でも、そんな、まさか……!


恐る恐る視線を下げて行く。


心臓は爆発してしまいそうなくらい脈打っている。


体は緊張感からまったく動かない。


それでも、顔だけは舌へと向いていた。


目が、合った。


ニタリと笑う女の顔。


「早く起きなさいよー」


昨日まではろくに日本語が話せなかったその顔は、流暢な日本語であたしへ向けてそう言ったのだった。