37.5



「『恋人迷路を一緒に周りたい男子トップ3』に選ばれて、今、どんな気分ですか??」

「キャー!王子〜!!」

な、何なんだ……。

一体、これは何なんだ!!

「とても嬉しいです!俺も、みんなと周りたかったな。」

「キャ〜!!!大輔様〜!!!!!」

だ、大輔……。

大輔のこういうところ、本当に尊敬できる。

こんな笑顔、僕は意図的に作れない。

苦笑いしか、できない。

「続いて、澄春王子はどうですか??」

「えっと……、僕なんかが、こんな、注目されるなんて……、本当に申し訳なさでいっぱいです。ごめんなさい……。」

「キャ〜!澄春様ったら、謙虚〜!!!!!!」

澄春くんは、やっぱり愛美と似て、アイドルみたいな外見なのに、こういう場面には慣れていないみたいだ。

ごめんなさいって。

なにも謝らなくても。

『だから絶対に、日奈子ちゃんを離さないで。これからも、守り続けて!』

さっきは、あんなにも……。

「では続いて、颯磨王子!どうですか??」

やっぱり慣れない。王子なんて。

「特にありません。」

「キャ〜!颯磨様、安定のクール!!!!!」

っていうか……!!

僕の告白は?

こんなことで潰されたのか!?

上手くいってもフラれても、想いはきちんと伝えたかった。

もう、我慢なんて……。

「ありがとうございます。では、次はお待ちかねの!フリートークタイムです!」

何だそれ。聞いていない。とにかく早く帰らせてくれ……。

「今回の『恋人迷路』について、3人で自由に話してくださいっ!」

そんなこと言われても。

話すことなんて……、

「そういえば、今回の『恋人迷路』、俺達が颯磨の恋のキューピットをしたんです!」

お、おいっ……!だ、大輔……!な、何言って……!!

「そうそう。お手伝いしたんですよ。」

す、澄春くんまでっ……!!

まずい。顔が熱い。

っていうか、手伝ってくれたのは、澄春くんだけじゃなかったのか!?

「そうなんですか〜!?えっ?上手くいったんですか!?」

「颯磨、どうだったんだ??」

その瞬間、不意に我に返った。

そうだ。僕はこんなところで、何をしている……?

「大変だったんだよ。大輔くんだけじゃなくて、京くんにも手伝ってもらって。」

「え?京くんとは誰のことですか?」

「京っていうのは……、」

大輔が京について説明している。

でも……、僕にはもう、そんな会話は聞こえていなかった。

澄春くんも、大輔も、京も、ずっと、応援してくれていたんだ。

それなのに、僕は……。

自分の気持ちに嘘をついて……。

せっかくの告白するチャンスも、放送がかかったからって……。

そんなの、本当は誤魔化しでしかなかったんだ。

大事な人が、そこにいるのなら、それを最優先するべきだったんだ。

「颯磨王子、ちなみに、その好きな子と言うのは、誰なんですか〜???」

初めて会った時から、ずっと……。

僕は……、君を……!

僕だけは……、君を……!!

「颯磨王子……?」

「すみません。ちょっと。」

僕は走り出した。

君がどこにいるかなんて、そんなこと知らないけど、でも……!

「えっ?ちょっ、颯磨王子!?」

「おい、颯磨、どこ行くんだよ!」

「ごめん!優先順位、間違ってた!!」

「は!?何言って……!!」

「いいよ、大輔くん。止めなくて。」

澄春くんの声が聞こえた。

「颯磨くん!頑張って!」

澄春くん……。

「ありがとう!」

こんなに大声で『ありがとう』と叫んだのは、いつ以来だろうか……。

僕は首を振る。

そんなの、今はどうだっていい。

今、僕は……、

君のことだけを……!!