「こんなの、もう犯人特定じゃん……」
律がつぶやく。
みんなもわかっていた。
これを見たら大地を犯人と考えるのは当たり前だ。
しかし、証拠がない。
こうして苺が残したデータを証拠として大地に突きつけるとしたら、弱すぎる。
相手は暴力的で、短気で、平気で女性を殺すような指示を出す極悪人だ。
いざとなったらうまく逃げることくらい、誰もが予想できた。
「……証拠探します」
栞がそう言って立ち上がろうとすると、遥が止めた。
「いや、いらない。殺人の証拠はないに等しいが、寺崎大地の会社の不正の証拠は見事にそろってる。つまり、こっちのほうで寺崎大地を引っ張ってくることは可能。ですよね、警視長?」
腕を組んで立っている隼人は、ただうなずくだけだった。
そうとわかれば、栞の行動は決まったも同然で、栞は部屋を飛び出した。
続いて律が部屋を飛び出す。
部屋に残った遥たちはデータの整理をした。



