「あの、お聞きしたいことが……」
彼女は栞を通り越して庭のほうを見ている。
栞はなにかあるのかと思い、そのほうを見てみると、子供たちと楽しそうに遊ぶ沙也加の姿が目に入った。
「すみません、彼女も一応警察です。どうしても遊びたいらしくて」
栞は恥ずかし気持ちと申しわけないという気持ちでいっぱいだった。
沙也加が警察の人間と聞いた彼女は安心したような、驚いているような顔をした。
「そうでしたか。それで、聞きたいことというのは?」
「ここに姫野沙羅ちゃん、いますよね」
「ええ、います。沙羅ちゃんがどうかしましたか?」
栞は単刀直入に言うか迷ったが、時間もないというとこで、いきなり本題に入る。
「彼女の母親が一か月くらい前に殺害されたんです」
女性は小さな手で口を覆った。
言葉が出ないようだ。
「そこで、彼女の母親、寺崎苺を知っている方がいらっしゃらないかと思いまして」



