数分後、沙羅が暮らしている施設、姫野学園に着いた。
二人が学園に足を踏み入れると、四人の子供たちに囲まれた。
「ねえねえ一緒に遊ぼう」
「今家族ごっこしてたの」
栞はどうしようかと戸惑っていたが、沙也加は目を輝かせている。
「やる! 一緒に遊ぼう」
大きな子供がいると一瞬で思った。
だが、この一言は子供にとってとても嬉しかったらしく、子供たちも沙也加と同じように目を輝かせる。
「私がお母さんで、類君がお父さん。翔君がお兄ちゃんで美穂ちゃんは妹。お姉さんは近所のお母さんね。今日はうちでお茶会するの」
沙也加はあっという間に子供たちの輪に混じった。
違和感がないことに、栞はなんとも言えない気持ちになる。
栞は子供と楽しそうに遊ぶ沙也加を置いて、職員室に向かった。
「すみません、警察の者ですが」
「どうかなさいました?」
出てきたのは、綺麗な黒髪をショートボブにしている可愛らしい女性だった。



