栞は運転席に、沙也加は助手席に乗り込んだ。



「栞ちゃん、寺崎大地のとこには行かなくてもいいんじゃない?」



沙也加はシートベルトをつけながら言った。



「どうしてですか?」


「だってその人のとこには律ちゃんたちが行くでしょ? だったら二人についでに聞いてきてもらったほうが手間省けるし、聞かれるほうもうざいって思わなくて済むでしょ?」



沙也加の言うことに納得した栞は、胸ポケットから自分の携帯を沙也加に渡した。



「これで妃さんか火神さんにかけてください」


「いいよ、自分のでかける。律ちゃんの番号知ってるし」



沙也加は栞に携帯を返し、小さいカバンから自分の携帯を取り出した。



「もしもし。サヤさんどうしました?」


「あ、律ちゃん? 今どこにいるの?」


「署です。手越小毬の元カレのとこで聞き込みし終えて、松山百合子が勤めていた会社に向かうとこです」


「ならちょうどよかった。ついでで申しわけないんだけど、寺崎苺のことも聞いといてもらえない?」


「別にいいですよ」


「ありがとう。じゃ、また」


「はーい」