翌日、栞は無事退院した。


そして退院直後、栞は復帰した。



「真瀬さん、この事件は私に仕切らせてください」



栞の真剣な目を見て、遥は栞に捜査ファイルを渡した。



「暴走すんなよ」


「しませんよ。さ、捜査を始めましょう」



栞はそう言って、いつも遥が立っている場所に立った。



「とりあえず、携帯の履歴から調べたりできるのが一番なんですけど、なんてたって二十年前です。携帯とか当然残ってないし、現場に行くのも不可能です。そこで、火神さん」



栞は人差し指を宙に向けた。


宙は一瞬きょろきょろし、自分を指さした。



「火神さんは、何人もの彼女がいるって聞きました。本当ですか?」


「あー、まあ、嘘ではない」



宙は律の睨むような視線から逃げながら、答える。



「彼女さんたちから、メール以外にどんなものをもらいますか?」


「手紙とか手作りのお菓子とか」