頭に響いたその声を聞いたとたん、栞は気を失ってしまった。
翌朝、栞が目を覚ました。
病室には、昨日のメンバーがそのまま残っている。
「栞ちゃん、大丈夫?」
唯一起きていて、近くの花瓶に花を生けていた沙也加が聞いた。
昨日の今日だからか、だいぶ弱っている。
「うん、ちょっと頭が痛いかな。それと……」
栞は気まずそうに黙り込んだ。
心配そうに自分を見つめる沙也加を見て、ゆっくりと口を開く。
「……忘れてたこと、全部思い出した」
すると沙也加は手に持っていた花瓶を落とし、両手で口を塞いだ。
その音で全員が目を覚ます。
「本当に、全部思い出したの……?」
うつむいていた栞は、そのまま首を縦に振った。
みんな嬉しいという気持ちと、辛いだろうという思いが入り混じった表情をしていた。



