遥が恐る恐る栞に聞いた。
だが、不思議そうな顔をして首を傾げる栞を見て、遥は遠慮しなくてもいいと判断した。
「これはあくまで俺の考えだから、深く考えるなよ。俺が思うに、この犯人は花村杏奈、つまり、お前の本当の母親だと思う」
「私の、本当の……お母さん……」
栞のそのつぶやきに、沙也加は胸が締め付けられる。
でも動揺を隠すように、遥を見る。
「ハル君、どうしてそう思うの?」
「根拠はないんです。ただ、そしたら岡本が殺されなかった理由も説明できるかと」
そう言われて、皆考え込む。
「たしかに」
そして、栞以外の四人が同時に言った。
「つまり……?」
いろいろなことがありすぎて整理がつかず、栞は説明を求めた。
遥もそれをわかったから、説明を始める。
「なんらかの原因で花村杏奈は彰のことを殺した。そして、我に返って自殺。こう考えると、犯人は逃走しない。そして、岡本は殺されない、ということだ」
栞は考えを巡らせる。
「うっ……」
突如栞が頭を抱えて丸まった。