「さっき妃さんと確認したことだが、念のためもう一回」



全員静かに、遥の話を聞く。



「殺されたのは花村彰と杏奈の二人。娘は苺と桃。第一発見者は苺。当時中学二年で、部活が終わって自宅に帰ると、倒れていた妹の桃を発見。そのあと、血を流して倒れている両親を見つけた。二人とも刺殺で、彰を殺したあと一度ナイフを抜き、そのまま杏奈が刺されてる。ナイフはこの家にあったもので、杏奈の指紋があったらしい」



さっきよりも詳しく話し終えた遥は、ファイルをテーブルの上に置いた。



それを沙也加がいち早く取り、パラパラとめくる。



「ハル君、この資料を見て変だなって思うとこ、あったでしょ」


「はい、一点だけ。犯人が見えるところに桃は倒れていたのに、殺されなかったことです」


「だよね。で、犯人の目星は?」



遥は残念そうに首を横に振る。


資料に目を通し終え、テーブルにそれを置いた沙也加も暗い顔をしている。



「そんな簡単にわかったら二十年もここに資料、眠ってないもんね。ちなみに、私は隼人が犯人じゃないかって思ったこともある」



沙也加は気まずそうに笑いながら言う。


腕を組み、下を向いて考えていた隼人はそれを聞いたとたん、顔を上げる。