遥の指示で、一斉に行動を開始する。


段ボールに入っている資料を読んだり、パソコンで家族構成や友人関係を調べたりと方法はさまざまだ。



二時間後、また全員が集まった。



「じゃあ私から。手越小毬、十八歳の大学一年生。両親ともに健在で姉が一人。数か月前まで野田秀真っていう、恋人がいたみたい。でもその彼、薬物使用してて、今刑務所の中」



律は報告をしながら、ホワイトボードに必要事項を書いていく。


そして終わると、自分の席に座った。



「じゃあ次俺ね。松山百合子、三十三歳。両親と上に兄二人がいる。このあたりで十年近く一人暮らしをしていた。数か月前に辞めていたが、証券会社で受付係をやってたらしい。で、その会社の代表取締役社長が寺崎苺の夫、寺崎大地。俺的にはこれで松山と寺崎苺がつながったと思う」



宙は自信ありげに言うが、対して遥は冷静に否定する。



「いや、その可能性は低い。いくら寺崎苺の夫が経営している会社に勤めてたからって、そこで二人がつながっていたとは考えにくい。次、岡本」



そっけなく言われた秋良はとぼとぼ自分の位置に戻る。



栞は調べた資料を持ち、ホワイトボードの前に立つ。



「寺崎苺、二十九歳。両親は十五年前に殺害されてて、家族は妹だけみたいです。けど、そのとき別々の施設に預けられています。名前は花村桃。ただ、不思議なことに彼女が今どこでなにをしているのかわかりません」


「全く情報がないの? 花村桃について」