律はその手を払った。
「未解決事件の捜査でもしたら?」
そして睨むように言われた宙は、重たい足取りで資料庫に向かった。
「終わりが見えないですよね」
譲り合いを終わらせるように、栞はフルーツタルトを取った。
そして律は黙って遥を見た。
遥は適当にケーキを取る。
「じゃあ、私がチョコケーキだね」
ケーキを一口食べた栞と律は、とても幸せそうな顔をしている。
「なんで女って甘いもの食っただけであんなに幸せそうに笑うんだろうな」
隼人がそう言っても、女性陣の耳には入っていない。
二人とも、ケーキに夢中らしい。
「ねえ、なんの事件にするー?」
資料庫から宙の声がするが、誰一人答えようとしない。
「え、みんないるよね? 少しは答えようとしてくれてもよくない?」
「火神が興味持ったものでいいだろ。ここには山ほど事件があるんだから」
ケーキに夢中な栞、律に、話そうとしない遥に代わって、隼人が答える。
正直どの事件でもいい宙は、近くにあった操作ファイルを適当に取って、ソファに戻った。